『幼児の書写事情 2011』

☆みなさん聞いてください、わかってください☆


はやくから習わせても、かならずしも親の期待通りにならない場合があります。また、入学前にはうまく書けていたのに、学校に行ってから字が下手になった。ということすらあります。

学校では、好きな時間だけ字を書く、あるいは疲れたら字を書くことをやめる、というようなわけにはいきません。字を書くことは、それが目的ではなく、いろいろな勉強のための手段・作業です。
ですから、長い時間書いても、手が痛くならない、疲れない書き方ができなくてはなりません。 そうすれば、いつまでもきれいな字で書き続けられるわけです。

そのために、一番大切なことが、運筆力をつけることです。




その11  “くもん”か“書き方”か
その10  これが実態
その9   親のキモチ、子のキモチ、そして私のキモチ
その8   親のキモチ、子のキモチ
その7   鉛筆の「望ましい持ち方」についてその2
その6   鉛筆の「望ましい持ち方」について
その5   鉛筆の良し悪 し  その2
その4   鉛筆の良し悪 し  その1
その3   年中児の書写の実態 
その2   年長児の運筆力について再び
その1  ひとりごと 文字は幼児期に書けなくてはならないの?


★“くもん”か“書き方”か★  2011.4.15

 年長になった子どものお母さんから、書き方教室についての問い合わせがあった。話しぶりからは、とても知的なお母さんのよう。わが子の書写の様子も良く把握されておられる。教育熱心のようで、年中からくもんの教室に通わせているという。子どもの知的レベルも高いのであろう。 

 問題は、文字を書くことらしい。まず、本人があまり字を書くことを好まないというのである(書けないわけではないらしい)おそらく、すらすらと書けないのであろう。そして、左利きという。

 左手で文字を書くから、すらすら書けないということはない。しかし、くもんの教材は右手用に作られているので、何かと不自由であったと思う。

 書くという行為は、頭より手先の器用さが優先する。手先の不器用な今日の子どもは、目に見えるとおりの形が書けない。字を書かせるより、絵を描いたり、工作をしたりして指先を器用にする方が先決である。

 電話をくださったご家庭の子どもさんは、早くから小さな文字を書こうとがんばったため、手に力が入りすぎて、疲れ果ててしまったのかも知れない。 

 くれよんやマーカーのような力を入れなくても書けるもので、お絵かき、ぬりえをもっとたくさんしてから、字を書くことを始めたら良かったのに。

 「字を書くことを嫌っている」というお母さんの言葉に心が痛んだ。     



★これが実態★  2011.4.11

 昨年1年間、小学1年生を個別に指導した。それでわかったことは、学校での文字を書くことの指導方法があまりにも画一的すぎて、その指導になじめない子がおちこぼれていることであった。

 学校の先生の指示通りの文字が書けない子は、ノートやプリントが赤ペンで真っ赤になるほど訂正されている。しかし、なぜこんなに直されているかが理解できていない。きちんと書けるまでのサポートもなし。 たかが6才、ほめられずして、どうしてやる気が起きようか。子どもが達成感の得られる指導方法はないものなのか。

 以下、実際の話 

親「学校で鉛筆の持ち方を注意されましたが、なおりません。」
私「そうでしょうね。でも、あなたの子どもさんは、まだ学校で習う持ち方ができるほど器用ではないのです」

親「字を書くのがとても遅いです。持ち方はどうでもいいですから、速く書けるようにしてください」
私「よい持ち方をしているけれど、指の関節がうまく動かないので早く書けないのです。鉛筆を、太い軸のものにかえてみましょう。」 

親「ちっとも落ち着きがありません、字を書くときも、ふざけてばかりで宿題に時間がかかります」
私「鉛筆もうまく使えるし、運筆力もあります。きれいに書きたい意欲や必要性がないだけです。この子は、きっかけがつかめれば、きれいに書けます。根気よく書かせましょう。」

入学直後の文字学習は、それぞれに問題がありました。1年過ぎた今は・・・ 

私「姿勢、持ち方、おしゃべり禁止!!!」毎回、同じせりふ
生徒全員「はい、はい、わかっていま~す。(いつもうるさい塩出先生だな!)」毎度同じ返事
親「今年もよろしくお願いいたします。」のみ

みんなの差がなくなったから・・・     



★親のキモチ、子のキモチ、そして私のキモチ★  2011.4.10

 幼児教育的には、字が書けることはあまり意味はない、と言いつつも、教室を開いて20数年。わが「書き方教室」は結構人気がある。そのわけを考えてみた。 

 「小学校に入学してからの書写が円滑に行われるために、運筆練習によって、姿勢・執筆のしつけをします」というのがわが家のモットー。入学後の書字の実態を見ると、下手な児童の多くが、運筆(姿勢・執筆を含めて)が悪いことに原因がある。この運筆練習は、今のうち(幼児期)にやるべき。どんな子でも無理なくできる。

 長期的な展望に立っての指導をしている私は、なんてすばらしい指導者であろうか。 
 そう思っているのは、私だけ。
 子どもたちが「書き方、大好き」というのは、楽しいから。
 親が嬉しいのは、幼稚園の延長で指導が受けられる、月謝が安い。親が教えないですむから助かる。まあ、そんなところ。 

 何てったって、たかが書道教室。(私は、「書道教室じゃないデス!、書き方教室デス!」と名称にこだわっていますが) 

 「まあまあ、センセィ、そんなに目くじら立てずに…」 そうです、何でも良いのです。要は、子どもたちが、楽しく取り組んだ結果、字を書くことが嫌いにならないような土作りをしているのですから。 

 「塩出先生の所(書き方教室)では、あまり上手にならなかったけれど、習字教室(別の所)に通わせたら、上手になりました」

 「そうですか、良かったですね」(そこまでの土壌改善をしたのは、このワ・タ・シ・・・)

 これで良いのです。 



★親のキモチ、子のキモチ★  2011.4.9  

 今年も幼児の硬筆指導続投。まあ、時代に見合った仕事のようで、なかなか人気がある。しかし、指導する私は複雑な気持ちである。入学前に文字を書かせる教育的意義は…と、考えると、残念であるが否定的になってしまう。

 ひらがな50音が入学前に書けることは、幼児教育的にはさほどの意味がない。

 幼児期の個人差は大きい。何事にも、適齢期というものがある。できれば、適齢期になってから指導をしてやりたいのではあるが…ろくに読み書きができなくても、応募があれば断ることができない。

 たしかに「年長になっても文字に関心を示さない、これでは学校に行って落ちこぼれてしまう」という親の危惧もわからないではない。「学校に行ってからでも十分間に合いますよ」というアドバイスは、残念ながら、私にはできない。

 鉛筆で文字を書くという行為は、6才くらいからでも、十分間に合う。しかし、それでは「時間がない」と親は言う。小学校に入ったら、あれもこれもやることが多くて…、ということのようだ。

 文字への関心がうすいのは、それなりの環境を作らないからである。 習い事に通わせるより、親子一緒に本を読んだり、こどもが興味をもつような言葉を、親が書いてみせたらよい。要は、親子で文字遊び。

 宿題をするのに時間がかかるのは、だらだらとやっているのを見過ごし、ギリギリになってガミガミ言う親にも罪がある。くたくたになるまで遊ばせておいて、眠いのに宿題をさせるなんて、いかがなものでしょうか? まず宿題を済ませてから遊ばせるべし。(遊びたかったら、こどもは必死で宿題をします)

 親は、「何度言ったら、わかるの!!!」とよく言う。

 何度言ってもわからないのは、言い方が悪くて理解できないのでは? 
 6才にして、聞き流す、と言うことを学習させたのは誰?
 



【鉛筆の「望ましい持ち方」について】 2011.4.3 

 Blog Paperの先生への反論をWeblogでしても聞こえないかも知れないけれど・・・

 鉛筆の持ち方を年齢によって変えるなんてことは、遠大なる教育改変。幼児期に書きやすい持ち方を、入学後のいつの時点で直せるのでしょう?そんな技量が学校の教師にあるというのでしょうか?

 先日、幼稚園の先生と書き方(書写)の指導について話しをしていて、先生達が太い軸のシャープペンシルを使用しているのに気付き、こんな質問をしてみた。

 「先生、何でそのシャーペンを使っているの?」

 すると、「だって、細いと書きにくいんですよ。手も痛くなるし」という。

 「そうでしょ、先生がそうなら、子どもたちだって、同じだよ。子どもたちに“はなまるくん”(鉛筆の持ち方の補助器具)を使わせているのは、指の位置をちゃんと覚えるためでもあるけど、あれを使うと、鉛筆自体が一回り太くなるから楽なのよね、子どもだって細い鉛筆だと書きにくいの」

 そういうと、妙に納得された。大人は手が大きいから細いと書きにくいと思われていたのかも知れない。

 ちなみに、2才児くらいの子どもに、いろいろな太さや滑らかさのクレヨンを渡すと、一番書きやすいのをちゃんと選ぶ。それは、太いくて、力を入れなくても濃く描けるクレヨンである。

 鉛筆の持ち方を年齢によって変えるよりも、筆記用具自体を変えた方がよいのではないでしょうか。


【鉛筆の「望ましい持ち方」について】 2011.4.2   

 Blog Paperという聞き慣れない名称の書道機関誌?が発刊された。

 Blog Paperなるものは、Weblogで見ること、書き込むことができない人のためのもの? と思うと、さすが手書きのクニの人たち、と笑ってしまう。

 最近、書写書道教育では聞き慣れない名称が目立つ。「書育」だの「育字」だの…

 それはさておき、その中に、鉛筆の「望ましい持ち方」に関する投稿があった。

 大学の先生であるが、小さい子どもにこの持ち方で書き方を教えたら、とても書きにくそうにしていた。それを見て、いわゆる「正しい持ち方」は書くという動作において本当に最も適した持ち方なのか?という疑問を持ったという。

 そして、次のような意見(感想)を書かれていた。

 「おそらく「望ましい持ち方」とは、決して一律のものではなく、特に子どもの場合、成長発達の段階(年齢)に適否があって当然ではないだろうか」と。

 今更のように何を言うか、と言いたいが、偉い先生が関心を持ってくださると、巷の実践者はありがたい。

 ついでに言わせて頂くと、私たちの声にも聴く耳を持ってほしい。

 Weblogはニガテかしらん(笑)


【鉛筆の良し悪 し  その2 】  
   -書きやすいえんぴつ-
     2011.2.16   

 昨年10月から某幼稚園で硬筆指導を始めたS先生。教職経験はそれまでにはなく、書道塾とは異なる集団指導に奮闘されている。

 同業者として良く話を交わすのであるが、ある時、「先生、鉛筆を変えたら、うまく書けなくなった園児が多くて、びっくりしました!!」と目を丸くして報告をしてくれた。

 長年の経験では予測できることではあるが、幼児の指導は初めてのS先生はショックであったようだ。

 「私の教室の園児でも、学校に行って、普通の鉛筆を使うと持ち方が悪くなる」と言うと「幼稚園での持ち方の指導は意味がなくなるのではないか」と、困ったような顔になった。

 以前、同じような不安を訴えた親がいた。おそらく、口には出さないが、「鉛筆は普通のもので指導してくれればよいのに、学校ではこんな鉛筆(太い三角鉛筆のこと)は使わないのに」と思っている親は今でもいるだろう。

 私も以前、そんな不安から普通の鉛筆も使わせた事がある。しかし、普通の鉛筆は細すぎて少しの間はうまく持つが、すぐに持ち方が悪くなる。そして、すぐに手が痛いと言う。細い鉛筆を書き方教室で使わせることにはなんら意味はなく、入学後で十分という結論に至った。(小学一年生ではまだ難しいくらいである)最後まで、書きやすい鉛筆を使い手指の巧緻性を損なわないようにする方がよい。

 S先生はいろいろと、子ども達の実態に見合った工夫をされている。頼もしい若手の教育者である。


【鉛筆の良し悪し】  
   -結局は低コスト-
     2011.2.16   

 ステッドラーの鉛筆は握りやすい。軸の塗装液が滑りにくい性質なのである。特殊な加工であるから、コストは高い。幼児が初めて使用する鉛筆としてはとても具合がよい。

 幼児期に文字を教える(書かせる)ならば、筆記用具の吟味は最優先にするべきと私は考える。

 手指の巧緻性に見合った筆記用具を与えないから、就学後の指導事項である鉛筆の持ち方だの、運筆だのがうまくできないのである。

 そういう観点から、このステッドラーの鉛筆は最良であった。しかし、悲しいかな高い!(現在、1本240円なり!)しかも、地方都市広島には販売店がない。(以前は東急ハンズにおいてあったのが、無くなった)

 売れないからである。

 売れない理由は、鉛筆を変えることでの効果が親にわからないからである。それは、子どもが字を書く所をしっかりと見ていないからである。1本数十円で買えるものに二百円以上も払うほどの価値があるかどうかは親が決めること。しかも、どこの文具屋でも買えるわけではない。お取り寄せをしなくてはならない。そこまでの努力は、なかなかできるものではない。持ち方、姿勢にこだわらなければ、鉛筆はどのようなものでも字は書けるようになる。

「持ちやすい鉛筆があることは、聞いているけど、なかなか買うチャンスが無くて…」というのが親の弁明。結局、姿勢・持ち方は、親の一時的な関心事でしかない、としか言いようがない。(ときどき、小学校に行った後も「先生、幼稚園の時に使っていた太い鉛筆を分けてもらえませんか」というお母さんがおられる。子どもの書き方にきちんと目を向けておられることがわかり、とても嬉しい。)

 無理矢理字を書かされている子ども達の身にもなってみよ。ちょっとでも楽な用具が欲しいはず。
 


【年中児の書写の実態】  
    〈文字を書きはじめたら持ち方が・・・
     2011.1.3   

 2学期の後半から、急に持ち方が悪くなった子どもが現れた。注意すると直るのであるが、黙っていると2本がけになったり、親指が突き出る。

 つまり、鉛筆を握り込んでいるのである。

 どうやら日常の遊びや習い事で、文字を書いているようである。

 終業式の前のおけいこの時に文字を書かせてみた。かなり書ける子がいる。もじをなぞるプリントもかなりの子どもが正確にできている。

 私の教室では、年中児には文字は指導しない。しかし、文字を使った教材を使用する関係で、文字への関心も早いかも知れない。

 それは、自発的な行為として、悪いことではない。しかし、運筆習得においては、この時期に文字を書くことはあまり嬉しいことではない。鉛筆をぎゅっと握り込まないと、小さな字は書けないからである。

 親は文字を書き始めたわが子が嬉しくて褒めまくる。子どもはそれが嬉しくて、小さな字をたくさん書きまくる。 

 こうして、持ち方も姿勢も悪くなっていく。 

 しかし、親は「まあいいか、せっかく機嫌良く書いているのだから・・・」 
と見過ごす。

 運筆におけるイエローカード、第一号交付!!



【年長児の運筆力について再び】  
     〈文字を書かせるより線を書くことが大事
     2010.12.15   

 昨年度から、年中児を対象に運筆練習のための教室を開始した。月2回、30分程度。文字はほとんど書かせず、ひたすら運筆力を高めるための学習である。

 はじめての試みであるため、教材開発と同時進行。まさに自転車操業。

 年長児に結果が出てきた。持ち方と持久力は、年長から教室に通ってきた子より良い状態である。

 字形を把握することは知的レベルの差が条件であるが、持ち方、持久力は運動機能の程度の差である。これを促進させるような教材をひたすら開発。

 というと、すごく特殊なものに思われるが、要するに単純な運筆訓練をどれだけ飽きずに繰り返して練習させるかという、教材の工夫である。

 この時期には、文字自体は誰もが書けている。なぞりの学習をすることで、およその形は把握でき、とりあえず読める形にはなる。

 しかし、持ち方のせいで、形良くは書けない。姿勢も良くはない。これは、やはり然るべき書き方の指導が必要。定着するには時間も必要。

 また、そのような字がすらすら書ける子を見た親は、文字に関心がないわが子が不安になって、無理矢理書かそうとする。

 これに、どれくらいの時間がいるかを知りたくて始めたわけであるが、やはりかなりの時間がいること、そして文字を多く書くようになる前にしておくほうが効果的であることがわかった。一安心。

 昔は遊びの中で育ってきた手指の器用さであるが、今は文字を書くために、特別にしなくてはならなくなった。

 この現実を、どれくらいの親が理解してくれるのか。



【ひとりごと  文字は幼児期に書けなくてはならないの?      2010.12.15   
 あらためて、幼児期で文字が書けることは必要なことかどうかを考えてみた。
 ある先生は「文字が書けたら、お手紙を書いたり、作文ができたりして、遊びがより豊かになる」といわれた。確かに、子どもの発語にはすばらしい文学性がある。それが、自身の文字で書き留められるのもステキだな、とも思う。
 しかし・・・
 実際には、もっと生臭い事実がそこにはある。
 早くから文字が書けることは、優越感なのである。必ず賞賛をあびる。
 「すごいねぇ、○○ちゃんはもう字がかけるのねえ」という、親や他の大人の気持ちが、子どもが文字を書くことをより積極的にさせる。
 そして親は「こんなに早くから書けるのだから、将来はさぞかし字の上手な子になるだろう」と、思うかもしれない。
 だが、現実はそんなに甘くない。早くから書いたことで悪い癖がついてしまい、期待するほどには上達しない。

 また、そのような字がすらすら書ける子を見た親は、文字に関心がないわが子が不安になって、無理矢理書かそうとする。

 まあ、字の書けない子を学校がきちんと面倒を見てくれるわけではない。どの子も同じようなペースで字を書かされている。これもどうにかしてほしい。

 親はただガミガミと叱りながら書かせるだけ、先生もあまり当てにならないというこの現実、かわいそうなのは子ども達。

 そんな構図が現実であり、幼児期にひらがなをとりあえず書けるようにしておきたいと悪あがきをする親の気持ちもわからなくもない。悪循環だ。



 【教育産業は営利目的ですよ】    ー情報に惑わされる?ー 2010.9.18   

この時期から、幼児教育関係の出版社はどこも文字の特集をしはじめる。
「入学準備」としては「まず、文字」なのであろうか?
入学が迫って、ニーズに応えるための出版社の配慮、ということもできるが、しょせんこの手の会社は雑誌が売れることを1とするので、やや誇張気味。
必ずしもみんながこの通りにできるわけでもないし、どこぞの雑誌のように、教材を与えれば、一人で書けるようになる、とは限らない。下手をすると、この本が原因で、無理な学習をさせられるかわいそうな幼児がいるかもしれない。

学識経験者・有名人のコメントを尤もらしく付けるのも曲者。
大学の先生なんて、机上の空論が多い。いろいろな先行研究を組み合わせて、まことしやかに文を作るのです(私もちょっと経験者)しかも、実践で苦労している人なんてほとんどいないし・・・
幼児期には、いろいろな個体差があるから、一口に「こうすればいいのです」などは言えません。実践経験を積まないと、わからないことだらけ。
かくいう私、今年から幼稚園の現場の先生と共同で文字指導にあたっているので、またまたいろいろな課題をいただいています。先生から、教えられることだらけです。

子どもたちって、ほんとうに健気。親にも、先生にも、ほめられたい一心で一生懸命書きます。けっして、無理をさせてはいけない。どの子にも理解できる、効果のある教え方、教材を!!

わが至徳ルンビニー幼稚園はがんばっています!!



 【この字をどう思いますか?】

   ーこれで○?ー 2010.9.30   

   

上の字は、漢字を習い始めた小学校1年生の学習帳です。
この字を書いた児童は、少々落ち着きがなく、また手指の発達もあまりよくありません。
でも、知能は悪くなく、なかなかの博識ぶりを披露することもしばしばあります。記憶力もいいようです。
この字を見て「もう少しきちんと書くよう指導したらどうか」と思う人もいるでしょうし、「判読ギリギリのラインだから、まあいいか」という見方もあるでしょう。
親は、どうやら○が付いているので、合格ラインと思っているようで、ノートの書き直しをさせた形跡がありません。

では、書けないかというと、次の「耳」という文字をみてわかるように、できないわけではないのです。
     

左の筆順の確認の行は学校でならったままの状態。
点画のつきかたがヘンです。これで○?
ノートの文字を消してもう一度書き直しをさせました。
最初はうまく書けませんでした。どうやらこのマス目はこの児童にとって小さすぎるようです。
小さな字で書くと運筆が安定しないので、うまく書けません。
そこで、大きなマス目で練習した後に、もう一度書いてみると・・・
この通り、上手に書けました(拍手)
手指の巧緻性が未熟な場合は、大きく書いて、運筆を安定させることが大事ですね。



 【速く走れるクツ】    ー用具に頼る?ー 2010.9.18   

テレビを見ていたら、運動会の多いこの時期、この靴が大人気だという。4000円以上するらしい。私が書き方の指導でお世話になっている広島の幼稚園でも、やはり今この靴を履いている園児が多いと言われた。

わが子かわいさであろうが、共に汗を流すより、モノに頼るのか・・・

筆記用具においても、幼児にとって書きやすい鉛筆の情報はかなり多くなったようで、くもんのさんかくえんぴつや太めのクレヨンを、家庭でも与えているらしいことが、子どものことばや気配でわかる。

「与えている」と、敢えて書いたのは、それをきちんと使用しているかどうか、確認していると思えないふしがあるから。

「センセー、そのえんぴつ持ってるよ~」というものの、その持ち方は・・・

その鉛筆ならば、もうきちんと持てるはず、しかし多くの場合、正しくはない。

特別な用具を自慢するだけでは、効力はない。やはり、使いこなす努力をしなくちゃ。お母さんがた、買い与えるだけで安心しちゃダメですよ!



 2学期の幼児の書写の状況(年長)    ー運筆力の差ー 2010.9.18 


  今年はいつまでも暑い、なのに運動会の練習!!さぞ大変であろうが、幼稚園での書き方教室は意外に順調。「各クラスでの文字指導はどうなっているかな?」と、指導状況を聞いてみた。

「運動会の練習の疲れで、集中力が短くなっていますので、多くは書かせないようにしています」とのこと、「そうそう、雑に書かせるより、短時間の中身が濃い方がいいと思います」と私。「でも、文字プリントは毎日でもやりたがります」と言われるクラス担任。私への手前、そう言われるのかな?と思ったが、園児の書いたプリントを見ると、事実であったことがわかる。ほぼ全員が、ていねいに書いている。運筆にも無理がない園児が多い。筆圧がほどよいのである。

書道教室や幼児の学習教室での文字指導を目の敵にするわけではないが、多くの場合、字形の訂正にのみ終始して、持ち方や姿勢から来る悪癖を見過ごしている。だから、速く書くと字形が悪くなる。長時間か書くと手が痛くなり、雑な書き方をし始める、という現象が起きやすい。

それがあまり見られない。「塩出先生のアドバイスがあるからですよ」と嬉しいことを言ってくださるが、それをきちんと守ってくださる、先生の熱意があればこそである。私の指導は簡単なことではあるが、根気がいるからである。(正直、しんどい)

ルンビニー幼稚園の園児達はシアワセである。入学後の学習がかなりスムーズになる。もちろん努力を怠らねば、ではあるが。

幼稚園で習っているからといっても、それは基礎の基礎、安心しきってほったらかしは禁物。

「たかが書き方、されど書き方」である。



 入学後の書写あれこれ(その3)    ー2学期は漢字!ー 2010.9 


  学校が2期制になって、夏休み明け早々に給食開始、午後の授業有り、と子どもにとっては、夏休みのダラダラ生活からの切り替えでストレスいっぱい。お婆が経営している、わが書道教室はそのはけ口で大騒ぎ。毎度のことなので、「2週間のガマン」とストレスを受け止める側に立つ。

そんな中で、早速「先生、漢字を書くようになったのですが、うまくできていないんです…」と1年生の保護者の声。
近頃は、漢字を習得するペースは学校によって異なり、かなり早いペースで漢の指導が行われるところがある。字形の整え方は「だいたい書けていればよい」らしいのであるが、「これで合格にしてしまっては、画数が多い文字を書くようになったときに困るのでは…」というレベルでも許されていることがある。
「先生、学校ではこれで合格だよ」という子どもに、「そうよね、学校では合格でも書き方教室では不合格」というと、「え~、なんで?」と不満顔。
学校での指導は、漢字になると、点画のつきかた、はね、はらいがかなりアバウト。

活字世代、文字は読めればよい、そんなに細かく言わなくても…という考え方もあるが、せめて小学1,2年生の間は、もう少していねいな指導があっても良いのではなかろうか。

手指の巧緻性、字形の認識力が遅い子どもたちもかなりいる。小学2年生で習得する文字までは、従来通り、きめ細かく技法の指導をしてやるべきだと、私は思う!

書写教育が従来のままではいけない。もっと広い視野の上に立脚してその位置付けを、と他分野と肩を並べる教科でありたい学者諸氏の気持ちもわかるが、もう少しでできることも見切られて、落ちこぼされていることもあるのでは。

子どもたちが、漢字ドリルの見本の通りに書けた時の嬉しそうな顔!やはり、到達度は、自分自身で判断できているのである。



 入学後の書写あれこれ(その2)    ー夏休みの努力ー 2010.8 


  私の教室にきている小学1年生の子どもたち。この子達に限ったことではないのですが、1学期の時点では、まだまだ書写力の個人差は大きく

「どうしてこんなに雑に書くのだろう…」
「書くのが遅すきて困るわ~」
「はね、はらいがまだうまくできない」
「文字の大きさがバラバラ」

と、文字プリントになかなか“はなまる”がつかないことにイライラ、カッカされたお母さんは多かったのではないでしょうか。

私の教室は、「夏休み小1特訓コース」がありました。というほどでもないですが、「私の指定した時間に必ず教室に来ること、いえ親の責任で連れてくること」という親にも子にもそして私にもけっこう過酷な学習環境を設定しました。(まさかこんなに暑い夏とも思わず…)

その甲斐あって、かなりの効果が現れました。子どもたちが1学期に発揮できなかった、体内に蓄積されていた書写力が表に現れた結果なのですが、それを引き出すか腐らせてしまうかが夏休みの学習なのです。

子どもたちは同じ学校ではありません、それぞれに書写の宿題の内容も分量も違っていましたので、それらの「良いとこ取り」学校が休みなので「今日は疲れているから」という言い訳はききません。できるまで、確実にしないと帰れません。!

みんなよくやりましたよ。(私もがんばったノダ)クールなわたしが感動したのですから…

これで2学期は大丈夫!!と意気込んでいたのですが、2学期にまた新たな課題が…

1年生の戦いは終わらないのです。



 ♪入学後の書写あれこれ♪  2010.7.6     

正しい書き方はやはり大事です

私の自宅には、年長クラスでおけいこをした子どもたちが、入学後も続けておけいこに来ています。

卒園の時点では、まだ鉛筆の持ち方が充分でなかった子。運筆ももう少し努力が必要な子、きちんと書けるだけの持ち方ができているのに、あまり意欲的ではなかった子・・・

年長での書き方のおけいこは、月に2回、年間22回しかありませんでしたので、書き方は完全には身につかなかった子どもたちもいます。そんな子どもたちも、だんだんと書き方が良くなっています。それは、良い持ち方でも楽に書けるようになったからです。それだけ指先が発達してきたということです。

7月にもなりますと、だんだんと書く量が多くなりますし、文字も小さくなります。時間内に素速く書かなくてはなりませんし、宿題も多くなります。

「私が見ていると、ていねいに書くのですが、目を離すと雑になります」とか、「ゆっくり書くとそれなりにきれいなのですが、速く書くと汚い字になります」あるいは「急に姿勢が悪くなりました、持ち方も悪くなってきました」と、心配する親の声は、毎年この時期から聞こえてきます。

結局、持ち方や運筆がしっかりと身についていないからなのです。

親としては「やっぱり才能がなかったのかな」とか「書き方教室に行かせたのに、指導が悪かったのかしら?」とさえ思いたくなるなるようなひどい書き方になってしまう場合もあります。文字を書くことは、くりかえし練習することで、誰もができるようになることですが、油断するとひどい書き方にもなります。完全に身につくまでは、書き方の基本をまもって書くことを根気よく続けさせることが大事です。

簡単なようですが、その指導も根気のいることです。



 ♪指先は器用ですか?♪ 2010.7.4     

教育熱心な保護者はさまざまな情報を知識としてご存じ。鉛筆の持ち方も、いろいろな知育教育書には書いてありますので、気になって注意されているようです。

でも、本に書いてある持ち方は、実際にはとても難しいので、あまり指先が器用でない子どもに強要すると、却って持ち方が身につかない場合があります。

私の教室では、太い鉛筆を使っています。これは市販の鉛筆よりかなり持ちやすいものですが、それでも年中クラスでは、まだ、学校の教科書にある「正しい持ち方」は難しいようです。

ですから、あまり早くから、普通の鉛筆を与えて、「正しい持ち方をしないとダメよ!」とキビシク言うのも考えものです。

「最初から、きっちり教えてください」と、熱心なお母さんはおっしゃるでしょうが、やはり時期がこないと、却って指が硬直してしまい、結果的には書きにくい持ち方を身につけてしまうようです。

文字を書くための基礎訓練である運筆練習も段階を踏んでステップアップが大切です。



 ♪嬉しい話2♪ 2010.6.18     

ー左利きはなおすべき??ー

先日の幼稚園の先生との話の中でも話題となったのであるが・・・

園児の書いた文字教材を見ながらの会話。

「この子は左利きです。お母さんは右手で書かせたいと言われるのですが、どうでしょう」 と、先生
「この字の書きぶりでは、お母さんは右手で書かせることの努力はされていませんね」と、私。
「そうなんです、本人にも直す意欲はみられません」と、先生。

左利きの幼児には右手で文字を書くことの必然性はない。現行の学校教育が右利きであることを前提としているから直したほうがいい、というだけ。私も、息子も左利きであるので、体験的にそう思う。

左利きの子どもの保護者も漠然と、右手で字を書かせた方がよいと思われるのであろう。しかし、右手で文字が書けるようになることはそれほど生やさしいことではない。時間と根気、そして学習の配慮がいる。親が安易な気持ちでいてはできることではない。

右手に変えるならば意志を強く持って欲しい。そうでないのであれば、左手で書くことを認めてやり、その場合の対策をとってほしいと思う。

わが教室では、保護者の思いがはっきりとしているのでありがたい。

右手に持ち替えている、TくんMちゃん、おさないのにほんとうにけなげに努力しています。今、ようやくひと山越えました。右手が右利きのみんなと同じくらいの握力になったのです。

ここまでよくがんばったね(拍手!!)←この一文が言いたかった嬉しい話。それまでは、この二人の努力がすごいということの前ふりでした \(^0^)/



 ♪嬉しい話1♪ 2010.6.15     

世の中でも暗い話題ばかり・・・ため息と共に「世も末だねえ」というと、娘が「マイナスなことばかり言われたら、これから世の中を渡っていく私たちは元気がなくなる」と言われた。たしかに明るい話題は元気が出る。宇宙から帰ったハヤブサで久々に明るい気持ちになった。サッカーで一喜一憂。これも良い気持ち。

やはり、モチベーションは大事。持ち方や姿勢は、些細なことかもしれないが、私はこれが基本と信じているので、妥協せずにやっていこう。

幼児期の習い事は、楽しいことが一番。とはいえ文字を書くことはただ楽しいだけでは住まされない一面もある。入学後の学習がスムーズに行われるための基本として文字があるのだから、それなりの技能習得という成果は親の期待するところ。

I幼稚園の書き方教室での嬉しい話。

幼児期での習い事で、大変なのは送り迎え。一人では通えないから、親の都合で習い事が制限されることが少なくない。そんな中で、文字を書くことより、姿勢や持ち方が大事、という強い信念のお母さんがいらっしゃる。

年中の時は帰りのバスの時間に間に合ったので、問題がなかったのだけれど、今年は、お兄ちゃんの帰宅時間と重なりお迎えの時間が厳しい。そんな中、なんとか続けようと努力されている。

「持ち方や姿勢をきちんと指導してくれる所は他にありません」と言われる。私は、何としてもお母さんの期待に応えてあげたい、と思うこの頃である。



 ♪やはり運筆が大事!!♪ 2010.6.8     

S幼稚園での文字指導のようすをきかせていただいた。

先生方はみなさん熱心に園児たちの書き方について、意見や疑問を言ってくださり、私は、先生方の積極的なその姿勢に感動してしまった。

今年は、文字教材と運筆教材を併用して指導してもらっている。鉛筆には持ち方のための補助器具をつけている。補助器具を付けただけで、持ち方が身につくとは言えないが、少なくともグリップの所が太くなり、手指には負荷がかからず、指の動きは良くなる。

鉛筆の補助器具もいろいろと出まわっているが、なかなか子どもの手指にフィットするすぐれものを採用していると思う。

やり終えた教材を見ての気付きを2,3言わせてもらうと・・・

前回も書いたのだけれど、文字教材が良くできている園児に、運筆教材の滑らかでない子が多い。

1学期はまだ鉛筆を使うことに不慣れな園児もいるし、器用さ理解力に発達の差が大きいので、文字教材も運筆教材もうまくできていない園児はいる。また、運筆教材(線遊び)は楽しいので、のびのびとできるが、文字教材はまだ難しい子どもも当然いる。これらの園児は、これから徐々に成長をしてゆくわけであるが・・・

すでに、文字教材が完璧にできている園児は、おそらく何らかの指導を受けているのであろうが、姿勢を正しくする運筆教材ができていない。

「この子たちの姿勢はどうですか?」と聞くと、やはりあまりよくないとのこと。おそらく、小さい文字を完璧に書こうとするので、無理な力がからだに入っているのであろう。

「このまま、文字教材だけさせると、姿勢は直らなくなりますから、運筆練習をきちんとさせてあげてください」とお願いをしておいた。

文字が良く書ける子どもたちには、ついつい姿勢、持ちかたに甘くなる。

持ち方を直させると、一時的には出来が悪くなる。「持ち方を変えると字が下手になる」と思ってしまい、本人も直したがらない。ここで、「今の出来より持ち方!、姿勢!」と、踏ん張って欲しいのであるが、なかなかそれができない。

習字教室だって、「○○ちゃん、4歳なのにもう全部書けるのですよ!」「5歳なのに、もう小学生でも書けないくらいお上手!」と、持ち方や姿勢より、字の方に目を向けた方が、指導の成果をはっきりと示すことができますからね。

でもね、本当に字を書くことが必要になった時には、姿勢が悪いと目も悪くなるし、疲れもひどいです。実用的な書き方を身につけることが、一番大切なんですよ。

まあ、そんな先のことはピンときませんよねぇ。でもって、学校に行って姿勢や持ち方の悪さを指摘され、「どうしてきちんと指導してくれなかったのだろう」ということになるのであるが・・・また愚痴になってしまった



 ♪「姿勢、持ち方」と言うのは易しい♪  2010.6.1     

某I大学のS先生との会話。

S先生曰く「大人は事務仕事でボールペンを長時間使うことで、肩こりや腰痛が出て辛いと悲鳴をあげ、ドクターグリップなどの疲れにくい筆記用具を開発した。でも、子どもの書字の疲労への対策がない、子どもの悲鳴が聞こえていない」と。

それで彼女は、「運筆の重要性」と「筆記用具の在り方および持ち方」を書写指導の研究テーマとしている。

私は幼児期から小学生までの字の書き方を専門とするが、彼女はその後、中学高校大学そして社会人になってゆく過程での、文字を書く時の快適さ、つまり、より正確に、速く、長時間疲れずに書く上での「書き方」の基本はやはり「運筆、持ち方」にあるという。

昨年のことになるが、書き方指導にとても熱心な、とある保育園での学習風景の写真を見せてもらった。

確かにその字は「小学生も顔負け」というような上手なものではあったが、悲しいかな、その姿勢と持ち方はひどいものであった。悪い方の見本としかいいようがない。

おそらく、「鉛筆をしっかりと持って、力を入れて濃い字を書きなさい」「字の形は、手本そっくりになるまで練習しましょう」という指導をされているのだと思われる。

そのような姿勢・持ち方でないと書けないのだが、なまじうまく書けているため、持ち方を変えさせるとヘンな字になる。それで親や指導者はとりあえず持ち方の悪さに目をつぶるわけである。

しかし、持ち方や姿勢の悪い子の多くは、いずれ字が汚くなる。

長時間書くと手が痛くなるし、画数の多い字、小さな字をたくさん書く上では不利だからである。

逆に、持ち方のよい子はある時期まで辛抱すると、楽に書けるようになる。

もちろん本人の心がけが悪いと宝の持ち腐れとなりかねないが・・・

毎回の運筆練習の重要性をわかってもらいたくて、ちょっときつい言い方になってしまった。



 ♪運筆力とは♪ 2010.5.25     

文字を書く前には運筆練習が大切、ということで文字の練習帳には、まず第1ページにいろいろな線をなぞるという課題があります。

でも、たった1ページ分くらいの練習で運筆力がつくはずはありません。あれはいったい何のためにあるのでしょうか?

昨年、年中時に22回、1回が30分の運筆練習をしてきた年長の園児と、この5月から書き方(書写)の学習を始めた園児とには、今の時点では運筆力に差があります。

具体的には、疲れが少ない書き方ができるため、長時間の書写に耐えられること。机に寄りかかることなく、安定した姿勢で書くことができる。書写の最中に、持ち方を正しくする余裕がある。ということなど。これらは、運筆練習をくりかえすことで習得できたことです。

決して、口でガミガミ言ったり、1,2回の運筆練習で身につくことではありません。

運筆練習はいくらやってもやりすぎるということはありません。でも、運筆力が十分ではないのに、文字を書かせすぎると、いろいろと問題がおきます。



 ♪運筆練習♪  2010.5.20     

文字もあまり読めないような年中期に文字指導をして効果があるのだろうか? と思われる人もあるでしょう。

確かに、年中の前半期には文字への関心のない子の方が多いです。また、文字はすらすらと読めても、すらすらとは書けない、という子もすくなくありません。努力不足だろうと、無理矢理書かせても、鉛筆の持ち方は良くないし、姿勢は悪くなるばかりです。

まず、机に寄りかからずに座ることができるような運筆練習をする。そしてつぎに、指先の機能を良くするための運筆練習です。この2つの運筆練習の教材は異なります。

多くの文字教材の運筆練習は後者のみ。指先の運筆練習です。

この練習は、姿勢を悪くさせることはあっても、姿勢が良くなることはありません。近頃のこどもたちは、日ごろの姿勢がよくないので、まず姿勢よく座るための運筆練習をすることが必要なのです。



 ♪鉛筆について♪   2010.5.13    

年長では、文字が書ける子はずいぶんと多くなります。でも、持ち方は決して良いとは言えません。それは、えんぴつのせい。

どう考えても、幼児にとって、普通の鉛筆は軸が細すぎる。芯の濃さを4Bや6Bにしても、あまり効果あありません。

太い軸の鉛筆を与えるか、補助器具でグリップを太くするかしなくては、運筆練習の効果も半減。

持ち方が悪いと、運筆にも偏りができ、結局は、良い字になりません。姿勢も良くなりません。

昨年、年中の書き方教室で運筆練習をした子どもたちでも、まだ鉛筆の持ち方が良い子どもばかりではありません。でも、今年、年長から教室に入った子どもたちよりは、指先はよく動いていますし、姿勢は良いです。

それは、指先に見合った筆記用具で文字の学習をしたからです。



 ♪集団のチカラ♪   2010.5.11    

S園では、今年から運筆練習を年中クラスに取り入れました。

文字のおけいこをスムーズにするための、姿勢よく座る習慣や、鉛筆がうまく使えるための指先の機能訓練(運筆練習)を、年中から取り組んでみようということです。  

第一回目は、私が担当しました。課題は、“始筆→送筆→終筆”の確認。文字を書くための基本線の書き方は、“とめ、送り、とめ”

まだ4歳になったばかりの子どもたちもいます。でも、しっかり話を聞いて取り組んでいました。S園は、集団指導が行き届いています。

平生から姿勢の悪い子は、この長い線を引くことがうまくできません。でも、この運筆練習をすることで、姿勢は必ずよくなります。今日も、2枚、3枚と書き進んでゆくうちに身体はまっすぐになっていきました。    

簡単なことですが、意外にできません。口で言うより、作業によって、身体に覚えさせることが大事。
                            


 ♪年長(5歳児)の書き方指導♪ 2010.5.10     

S園の年長さんは、今日が文字のおけいこ第1回目。昨年から、先生方は積極的かつ計画的に指導をされています。私は、その先生達のアドバイザー。指導の様子を見にいきました。

運筆練習は、持ちやすく、すべりの良いクレヨンを使用。

課題のプリントの説明もていねいにされていました。(拍手)  

最初はとにかく、きめ細かく指導することが大切です。

さすが、年長。根気があります。

鉛筆は、補助器具をつかいます。園児がこれを鉛筆に装着するのはむずかしいかな?とおもいましたが、とてもうまくやっていました。    

細い鉛筆を使うのは百害あっても一利なし。幼児期で鉛筆を使うのは早すぎます(キッパリ)

字が良く書けるとはいうものの、持ち方の悪いこと。。。。


 ♪年中(4歳児)のうんぴつ指導はクレヨンがオススメ♪ 2010.5.6     

運筆練習はクレヨンを使っています。

クレヨンはえんぴつより太いので、もちやすい。そして、すべりがよい。
運筆練習の第一段階はコレ!!オススメです。  

鉛筆は安いものは芯が悪くて書きにくいですが、クレヨンは百均のものでもOK。

ただし、手や衣服が汚れる・・・でもこれを嫌うのは、大人

どうも、近頃は、きれい好きすぎて子どもの遊びを制限する親がいるみたい。いかがなものか?    

今年度、年中クラスの第1回目の書き方教室は順調に開始しました。

                            


♪運筆力のススメ♪   2010.4.25 

多くの場合、文字を書く学習は、文字をなぞることから始められます。その時にうまくなぞれないのは、運筆が自由に行えないからです。手指の器用さが未発達なため、鉛筆がうまく使えていないのです。いくら叱ってもできません。無理です。

はしや、はさみなどが使えるようになると、線や文字をなぞることもあるていどできるようになります。でも、なぞらないで書くと同じ形になりません。それは、まだ自由に鉛筆が使えるほど、手指が器用ではないからです。

「お手本の字の形をよく見て、そのとおりに書きなさい」と言っても、手がいうことをきいてくれないとそれはできません。

「字を書いているとき、その横について注意をすれば、できるけれど、ちょっと目を離すと、またヘンな字になる」という意見をよく聞きます。その時は、子どもなりに、全精力を出して何とか書いているわけですが・・・その書き方は、自然体ではないので、決して長続きできるものではありません。目を離すとヘンになるのではなく、持続して書けないからです。

まずは、線が自由に書けるような運筆力をつけましょう。  

この、運筆力が曲者・・・大人が考えるほど生やさしいものではないのです。現代っ子の不器用さは、ハンパではありません。

                                




☆21年度の年長(5歳児)の書き方指導☆  2010.2.22

 今年は隔週つまり、月2回平均、年間を通すとわずか22回。しかも1回の指導時間は30分~40分という短時間であったが、結果はどのクラスもまずまずの成果であった。(もちろん、短時間で効果を出すために、用具教材にはこれまで以上に配慮した)

1年間の指導を終えてみて言えることは、やみくもに長い時間書かせても効果がないということである。習熟という点では時間不足ではあるが、“書き方”の習得は従来通りできた。このくらいが子どもたちにとっては程よい学習時間、といか限界であろう。

 このような運筆を中心とした文字を書く前の段階の指導は積極的に行うべきであると思うが、きちんと行われているところはほとんどない。幼稚園での文字学習は、ことばの学習とともに行われているので、運筆や持ち方への配慮が少ない。運筆練習こそ、幼児期にするべきこと、幼児期であるからこそできることなのであるが・・・

年長になっても文字に関心のない子どもを持つ親の焦り、やみくもに書かせて、少しも上達しないので子どもを叱りとばす親。 やりたくもないこと、できもしないことをさせられる子どもたち・・・

そんな親子への支援ができればという気持ちで続けてきた「書き方教室」である。 ・・・老体にむち打ちあと何年続くやら(^0^)


以下に、年長の親に宛てた手紙も紹介しよう。

                            


♪おたより♪(年長保護者向け)   2010.2.26 

  「書き方教室もあとわずかになりました。今年度は月2回のおけいこでした。はたして、どのくらいの成果が上がるのかと、少々不安でしたが、まずまずの結果がでました。

幼児期での文字能力には個人差があります。それは、それぞれの性格、そして生まれた月、兄や姉の存在、家庭の環境など本人の努力とは無関係なことによって生じた差です。

でも、入学後にはそのようなことは関係なく同じような指導がおこなわれます。その時に嫌な思いや悲しい思いをさせたくない、というのが親の気持ちです。

たかが文字、されど入学直後には、学校生活が楽しくなるかつまらなくなるかというほどの重大なことです。
 とりあえず、入学前にひらがながひととおり書けていれば親は一安心。 できれば、学校でほめられるような字形であり書き方であってほしい。 そう思うのは親として当然のことです。

まだこの時期では、全員が同じレベルに到達することはありません。 とくに、近頃の子どもたちは不器用で鉛筆がうまく持てません。それが原因で、姿勢も悪くなりますし、速く書くと字の形がくずれます。 たとえば、鉛筆を強く押さえて濃く書くと力強くて上手そうに見えますので、「もっと力を入れて書きなさい」という指導をしたくなりますが、持ち方が悪いと、指にものすごい負担がかかりますのですぐに疲れてしまいます。ですから、たくさんの文字を長い時間書くようになってくると、疲労が原因で雑な字を書くようになります。 「幼稚園のときにはとてもきれいに書いていたのに、学校に行ってから雑な字を書くようになった」あるいは「1学期はまあまあの字だったのに、2学期になって急に字がきたなくなった」という意見はよく聞きます。その原因の多くが鉛筆の持ち方です。

字の形も、持ち方がわるいとうまくなりません。いくら注意しても手本のとおりの字の形にならないのは、鉛筆が思い通りに動かないからです。ぎゅっとにぎりしめていては鉛筆は自由に動きません。見えるとおりの形が書きたくても手が言うことをきいてくれないのです。

今年はこれまでの半分の回数でおけいこをいたしましたが、鉛筆のもちかたと運筆練習は以前と同じようにいたしましたところ、持ち方が安定している子どもが、字形や姿勢もよいいという結果がでました。持ち方や姿勢に気をつけて字を書くということは、集団指導での一番の利点です。家では甘えが出ますのでなかなかできません。 あとは、それぞれの子どもたちの集中力と学習意欲です。それを高めるには、親がしっかり見守り、ほめたりはげましたりしてあげることで何倍もの効果が出ます。今後は、文字を書いているときは「書き方教室で習ったように書きなさい」と言うだけではなく、子どもたちと向き合って、見守ってあげてください。

先日、おけいこ中に子どもたちの書いたものをすべて持ち帰り、ゆっくりみてみました。そこで気付いたことは以下のことです。今後の指導の参考になさってください。

【気付きその1】
長時間書き続けたとき、あるいは小さな文字を書いたときの運筆力の差
  1年間の成果でしょう、最初は持ち方に気をつけてゆっくりと書いていましたので、全体的に、大きな差は出ませんでした。けれど時間がたつと雑に書く子どもが出はじめました。また文字が小さくなると「手が痛いから書きたくない」という子どももいました。文字を書く速度もばらばらになっていきました。  運筆力と手指の器用さが字の形に出ています。  文字は、いろいろな方向の線の組み合わせです。長い線、短い線、あるいは曲線、それらの方向や角度が少しずつ違うことで字の形がよかったり、わるかったりするのです。書き手はピッチャーです。鉛筆のコントロールがよければきれいな字になります。 フォーム(鉛筆の持ち方)が悪いと、最初はなんとかできていても、無理をしているため途中からコントロールがみだれてうまく書けなくなります。今回の分析の結果も予想通りでした。

【気付きその2】
正しい持ち方=難しいもちかた?
 指先の器用さが未熟な幼児期には、いわゆる正しい持ち方は難しいもちかたなのです。それを運筆練習によってだんだんと正しくしてゆくのです。はじめは難しく感じるでしょうが、指示を守って書くことで慣れてきます。それに、身体の発達によって器用さも熟してきますから、最終的には難しい持ち方ではなくなります。この努力を怠ると指先のコントロールがいつまでたってもできないため、字形が暴走します。 曲線の多い「の、め、あ、お、ん」あるいは、線の方向がめまぐるしく変わる「ね、ぬ、み、む」がうまく書けないのはそのためです。 持ち方は手指の器用さによって定着度が変わります。少なくとも親の目の届く小学1,2年生の間は、口うるさいくらい注意し続けて下さい。身についたモン勝ちですから。 (高校や大学の受験期の集中度に影響が出ることが報告されています。) 今、誰よりも上手に書けること、漢字も片仮名もみんな書けることも嬉しいことですが、長い目で見たときには、「疲れずに書ける」ことを身につけることが大事だと私は思います。

【気付きその3】
筆順をなおすのは根気です
ご家庭でも筆順には目配りをしてください。こちらでも気をつけて注意をしていますが、日常でも文字を書くことが多くなったせいか、書き方のおけいこだけでは徹底しません。 現行犯(笑)でないと、説得力がありません。その場で「違っているよ」と注意するのが一番です。間違いやすい「も、か、や、せ、な、ふ、ら」などは要注意です。 原則として、間違って書いた回数以上正しく書かなくては、プラスにならないですから、マイナスを減す努力は、楽をする方法です。口より目を光らせてください。

【気付きその4】
左利きの場合
左ききのお子さんで、右手で書くことを望まれている方は、家庭でも右手で書くよう、よく注意してください。これからは、どれだけ右手で書いた量にかかっています。根気と時間が必要です。 わたしは、絶対に右手で書くべきとは思いません。今は小学校でも何もいいません。ただ学校での教材がすべて右用になっていますので、左手で書くと手本が見えない、姿勢が悪くなるなどいろいろ不都合はあります。子どもさんのストレスと学校でのリスクを考慮してください。

【おわりに】
文字を上手書けることが、将来どれだけ心にゆとりをもたらすかは、今の段階では子どもたちにはわかりません。今は、どれだけ速く、いろいろなことばや文章が書けるかが優越感です。それはとても大事なことです。書き方を正しく身につける意義がまだわからない子どもたちがそれを積極的に学習しようとする態度を育てるのは、大人のほめことばです。「がんばっているね」「ていねいに書けているね」「持ち方がいいね」ということばをたくさんかけてあげてください。

 

                                
 

☆21年度の年中(4歳児)の書き方指導☆  2010.2.21

年中児対象の書き方教室は、今年度新規開設。

永年の経験から、幼児期でもっとも必要なことは運筆のなめらかさであるといえる。

指先の巧緻性が鉛筆を持つことに対応していないのに、鉛筆を持たせ、字を書くことを余儀なくさせているこの現実。それは、つま先立ちで歩くことが当たり前であるようなもの。そんな書き方をさせているから、後々にツケが来るわけで、結果的に書写力低下に加担することになるのである。

ネットの中で保護者の文字意識を検索してみたところ、多くの幼児教育者や保護者が、運筆練習が大事であると書いている。

しかし、残念なことにその運筆練習がサッパリ効果を上げていない。入学以後、幼児期の文字学習によって子どもたちの書写レベルがあがったという実情の報告はない。

つまり、効果的な運筆練習が行われていない、あるいは、やはり運筆よりとりあえず書けることが切羽詰まっているということのよう・・・

たしかに、年長を対象にしたクラスでも、運筆練習を十分にしたほうがよいとおもわれる幼児ほど、親が家で文字を練習させているように見受けられる。無理な書かせ方をするから、よけいに上達しないのに・・・

と、愚痴はここまで。

年長では、親の不安をあおるような運筆練習中心のカリキュラムは組めない。ならば、年中から運筆練習をしてはどうか。ということで始めたのである。開始時は、殆どの子どもが文字を書けていなかった。(親から見れば文字を書いていると言えるのかもしれないが、まあ書けていないという範疇)その分、運筆練習はスムーズにできた。そして、3学期の終わりには、運筆が非常になめらかになった。今後が楽しみである

そして、その思いを以下のように保護者に伝えました。

                          


☆年中の保護者への手紙☆  


 「年中での書き方教室もあとわずかになりました。
今年からはじめた年中さんのおけいこですが、なんとか楽しくおけいこができました。初めてのことで、いろいろと課題もいただいたきましたので次年度に活かして、よりよいおけいこにしたいとおもいます。
 子どもたちの負担を軽くするために、年中・年長の2年間を通して、書き方の学習を充実させるという方針に切り替えたのですが、年長より、年中のほうが個人差がさらに大きく、対応に苦労することもありました。けれど、年中での目的である運筆力、手指の器用さを高めるという一番の目的は着々と達成できているのでご安心下さい。 これで、次年度年長のカリキュラムはずいぶんとスムーズに行えます。

 保護者の方にとっては、年中で字が書けることはステイタスかもしれません。でも、早くから書けたことが、かならずしも将来上手な字でありづづけるとは限りません。早い時期に書き始めると、その書き方にはかなりまちがいがあるようです。幼児期に書きやすい筆順や鉛筆の持ち方・姿勢などが、入学後に指導されるものとは違うからです。

 これは子どもには全く罪がありません。幼児の生活体験からすれば、当然である書き方が、小学校でならうものと違うというだけのことなのですが、これが定着してしまうと一大事。ですから、幼児にとって。「難しい書き方」である「正しい書き方」をなんとかして身につけさせなくてはなりません。

そのために必要なのが、正しい書き方でくりかえしおけいこする時間です。
 とはいえ子どもたちの集中力を考えますと、長い時間は無理です。いやいやながらやったことは、ちっとも身につきません。

ほんと、ゆとりって大事なのですが、なかなかゆとりのある生活はできない今日この頃。幼児期から習い事はたくさんありますものね。

ということで、年長の書き方が少しでもスムーズに行えるように、年中では運筆練習に力を入れておけいこいたしました。この成果が年長に活かされます。4月からのおけいこをご期待下さい」


 というように、保護者にもきちんと言い続けなくてはならないわけで・・・賢い子どもになってほしい、という素朴な親の気持ちが、子どもたちを追いつめないように。保護者へのケアが要ります。

                            


♪トン、スー、トンの挫折♪   2010.1.25 

 時代は変わっても、みんなきれいな文字を書くことに憧れます。だから書道教室に通わせるのです。書写の授業に期待をするのです。

幼児教室だって、字が書けるようになればよい、と思っていた親も書けるようになると、「もっと上手く書けるようになって欲しい」と願います。それならば、姿勢、持ち方、運筆を確実に、となりますが、まずは書けるようになることを期待します。無理矢理何度も書かせると、なんとか書けるようにはなるのですが、それからの上達が遅々として進まず・・・なんてことも。あるいは姿勢や持ち方が直らないということも。

 書き方教室や書道教室に通って来る子も、その親も、最初は「楽しくおけいこができる教室」であることで満足していますが、

そのうち飽きてきて「おもしろくない」「同じことのくりかえしばっかり」「めんどうくさい」と嫌がるようになります。 親も「ちっとも上達しない、この教室は合わないのかしら」なんて思います。

そのような子どもに限って、根気がなくまた、話を聞かず、注意事項を守らない。日常生活に規則性がない。という文字以外の所に問題があるわけです。

文字の上達は結局根気ときまじめさ。これだけでいいのですが、これが今の子どもには欠けています。  

トン(最初)の基礎基本がなく試行錯誤で書き始め、スー(途中経過)では根気がないので書き殴り、トンと上手くはなりません、なんちゃって…  




子どもたちの成長には、暖かく見守ること、ほめてやることが一番の栄養。
 叱りつけてさせたことは、身につかない。  いやいやながらやったことはなんのプラスにもなっていない。

桂風庵主、成長をサポートできるババアでありたいもの。