☆おかあさん聞いてください! 桂風先生の小言満載!!☆☆

ー子どもたちの実情をきちんと見据えた書字指導を目指してー


【大事なことは生活態度】

文字を書くことで一番大事なことは、体の発達です。
お母さん、まずは自分の子どもの体格をよく観察してください。きちんと座れますか?鉄棒にぶら下がったり、ボールを投げることができますか?お絵かきは?おはしを使うことができますか?

「そんなことと、字を書くことが、どういう関係にあるのですか?」と、少々不審に思われるかも知れませんが・・・
文字は、頭や気合い・根性では書けません!!

手指が鉛筆をきちんと持つことで、目で見たとおりの字を書くことができるのです。

無理矢理鉛筆を持たせ、文字をなぞらせて、何とか字を書けるようにしても、それ以上の上達は望めません。

5月から今年度の書き方教室がはじまりました。子どもたちの学習レディネスは年々低下しているのに、親の文字意識は年々高くなっています。このギャップを埋めるため、今年はお小言満載の「書き方通信」を発行することにしました。ネットにも上げておきます。みなさんも、読んでくださいませ。




★ワクワク感★   2013.7.28  

 先日、書き方教室で子どもたちが、「これ、楽しいねえ」と言っていた。それはちょっと変わった運筆練習をしていたときのこと。

「そういえば、こんなことばは久しぶりに聞いたなあ~」と我ながらしみじみとした。幼児教室の人数が多くなるにつれ時間内の効率にばかり気がとられ、「発達的に無理なくこなせるて、できるだけ文字を意識させるような教材」「より効果的なプリント作り」という事ばかり考えていて、子どものワクワク感を忘れていた。

親は文字を使った教材であれば「書き方の学習」をしているという満足感を抱くけれど、まだ充分に字も読めない子どもたちに文字を使った運筆練習はちっとも楽しくないのです。

文字を書くことの第一歩は、指を動かしていろいろな形の線を書くこ。お遊びの感覚でした方がワクワク感があって効果的。「書き方の学習」という目標を見失わなければ、どんな方法でもあり、なのです。欲を言えば、そこに「がんばったらできた!」という達成感があればより意欲的に取り組むようです。


★よくぶつかる子★   2013.7.9  

 先日、幼稚園の先生から、この頃の園児は距離感が計れないのでよくぶつかる、という話を聞きました。 歩行し始めたころならばわかります。あるいは、だんだんと歳をとってくると、あちこちにぶつかる、というのも肯けますが・・・

遊び盛りであるはずの4,5才児がなぜ?と思いますが、事実のようです。自分の意志と足で走り回ること(時間と場所)が少なくなって危機回避ができなくなっているのかもしれません。大人の作った枠の中で安全に飼い慣らされて、好奇心すらなくしてしまっているよい子たち。クレームが怖くて安全第一ばかり考えている保育・教育現場で育てられている子どもたち。と、考えるのは時代についていってない年寄りの言か。

関係があるかどうかはわかりませんが、「目分量」もうまくはかれなくなっているように思います。それが、文字のバランスのとりかた(字形)と関係しているのではないかと思う節があります。

子どもに試行錯誤をさせず、すぐに答えを親が与える、正解が短時間でみつけられるように誘導する学習メソッドのなかで子どもたちが失ったものも多いようです。




★ぬりえ★   2013.7.7   

 年中さんでぬりえができない子がいる。クレヨンでトントンと紙面をたたくようにするだけで、紙にこすりつけてぬりつぶすことができない。
描画行動の発達的にはかなり遅れている。これは経験がないのか、巧緻性が良くないのか。多分、両方であろう。
手をとって一緒にクレヨンを動かしてみたが、あまり興味を示さずやろうとしない。むりにさせるべきかどうか迷う。本人が興味を持たないことを強制的にさせるのはどうかと、躊躇する。子どもたちはお絵かきなどの自由描画をたくさんすることで、さまざまな線の形を発見する。どのようにクレヨンを動かしたらその線が書けるようになるかも、多くの試行錯誤をくり返して身につけていく。文字に興味のない子や、書けない子の多くはこの体験が少ないようである。
 だから文字を書かせる以前に運筆練習をしっかりとさせなくてはならないのである。運筆練習は手指の動きを良くするためであるが、それと同時に様々な線の形を記憶するという役目もあるようだ。というか、それほど今どきの子はお絵かきをしていない。ゲーム機の発達の弊害か?
年中クラスには、まだ書き方教室で運筆練習をすることすら時期尚早の子がいる。しかし今の子には、環境作りとして、このような場に身を置いて書くという行為に馴染むことから始めるべきというケースもあるかもしれない。

早期教育や英才教育が良いかどうかはわからないが、知的な環境が整っている家庭の子は文字の読み書きも速いというのは事実のようである。文字環境を整えるというのは、やみくもに文字を読ませたりなぞらせたりするという環境ではなく、家庭に文字を書く人がいる、本を読む人がいる、ゲーム機ばかり与えず、手指を使う遊び道具を与える、というようなことである。

スマホにかじりついて子どもと遊ばないどころか、会話もしない親が増えているように思えてならない。




★あいさつ★   2013.6.13  

 子どものお迎えで教室に入ってくるときのおかあさん、「こんにちは」と頭を下げられる人はごくわずかです。帰るときも、子どもをつれて黙って教室を出て行くおかあさんは多いです。
 ところが、おじいちゃん、おばあちゃんがお迎えに来られたときは、ほとんどの方がきちんとあいさつをされます。
「○○です。孫がお世話になっています。」と名前も言われます。帽子をかぶってこられたときは、かならず帽子をとってあいさつをされます。
 年月を重ねると、頭をさげる場も多くなるから自然とそうなるのかもしれません。とても心があたたかくなります。

 たしかに、おけいこ終了直後は、子どもの応対や片付けで、私も親の顔をじっとみることはありません。でも、挨拶をされたかどうかは気配でわかります。これも、たくさんの歳を重ねてきたからです。
 相手が見ていようと、見ていまいと、聞いていようと、聞いていまいと、あいさつはしたほうがよい。された方は、とてもよい気持ちになるから。

 先生の邪魔にならないようにとの配慮かも知れませんが、私は黙って帰ってほしくないです。できるだけ、「ありがとうございました、さようなら」と言ってください。
 たとえ、心の中では「たいしてありがたくもないけれど」と思っていても、「心地のよいことばを子どもたちに聞かせるため」と思ってしてください。子どものためならできるでしょ。

 ちなみに、挨拶がきちんとできる家の子どもは、聞く力ができています。なぜだかわかるような、わからないような・・・

「先生、私ってはずかしがりやなのです。ことばには出していないけれど、心のなかではあいさつしているのです」というおかあさん、子どものために思い切って声に出してください。はずかしかったら、親子で「さようなら」と声を合わせてあいさつをしませんか。 




★塩出先生の本音トーク 年長クラスその2  
         ーやはり姿勢に問題アリー★  
 2013.5.26  

 第2回目のおけいこでは、姿勢のためのプリントを1㎝くらいの短いクレヨンでしました。これほど短くなりますと、クレヨンは指先でしか持てません。
 姿勢のよくない子は、指先だけでクレヨンを持って長い線を引くことがうまくできません。ですから、筆圧が不安定な線だったり、ガタガタやぐにゃぐにゃの線になっています。また、速さのコントロールができないので、線の終わりを通りこしてはみだしています。
 鉛筆も、正しくは指先で持つのですから、この練習は姿勢と持ち方の両方を正しくするための効果があります。

 「う~ん、うちの子は線の練習はイマイチみたい。でも、ひらがなはぜんぶ書けているのだから、そのうちうまくなるんじゃないの?」と、思っている保護者のみなさん、それはまちがっていますよ。今の時点で「字が書ける」ということは、かならずしも「きれいな字が書けるようになる」ということにはつながりません。 
 幼稚園の時に誰よりも速く多く書けるからといって、小学校でもずっとそうであるとはいえません。小学校では、字の形を直されますし、長い時間文字を書かなくてはなりません。その時に、姿勢や持ち方が影響してきます。文字を書き続けても疲れない子、ある程度速く書いても形が悪くならない子は、やはり姿勢がよく、鉛筆もうまく使えています。

 姿勢のよくない子は文字のなぞりもうまくできません。そんな子に字を書かせようなんて思う方がまちがいです。
今回は白抜きの文字を鉛筆でなぞるプリント2枚を返却していますが、それらの文字には、書き始めの印(◎)と、線の始めと終わり、線の方向が変わるところに印(●)をつけています。ここではきちんと止まるという約束の印です。印の箇所できちんと止まるという約束をまもることが、指先のコントロールを助けてくれ、思い通りの形の字を書くことにつながります。
 文字を書く線には長さや傾きに制約がありますし、折れの角度、曲線の形にもある程度の決まりがあります。それをうまく実行するのが指先のコントロールです。手指が器用に動くとコントロールもよくなり、目で見たとおりの形が書けるようになるのです。

 まずは、ひとつひとつの文字の形を直したり、持ち方をなおすのではなく、それらができるような身体の機能を高めることから始めましょう。何事も手順が大事ですよ。

 ご家庭では、姿勢よくすわって食事をすること。ゲームばっかりしていないで、手指を使った遊びをすること。保護者のみなさまは、これらのことを、なだめすかし、あの手この手(奥の手、夫の手…?)をつかって子どもたち実行させてください。

今回はお小言ではなくお願いでした。 お・し・ま・い! 




★塩出先生の本音トーク 年中クラスその1★   2013.5.23  
年中クラスの書き方教室がはじまりました。
第1回目のおけいこでは、
 1 長い直線をひく   2 長い曲線をひく  3 ○に色をぬる(話を聞いていない子は△もぬっています)  4 ぬりえをする
というようなことをしました。用具はクレヨンです。 クレヨンはえんぴつよりも太くてもちやすく、やわらかい材料でできているので、なめらかに書けます。

それでも・・・ ほとんどの子が、きちんとすわったままでは書けませんでした。 長い線をひくには、腕がつくえの上を自由に動かなくてはなりません。あまり正座をしたことがないのでしょうか、それとも姿勢がわるいからでしょうか(たぶんこちらでしょう)、おしりを浮かしたり、からだをねじったり、紙をうごかしたり・・・ さまざまなスタイルで線をひいていました。

「よい姿勢で文字を書きましょう」と願っても、色塗りや、線遊びの段階で、きちんとすわることができないようでは、この先大変です。

1学期は、きちんとすわるためのプリントをします。
「こんなかんたんなことばかりさせるのですか?」 「いつになったら字を教えてもらえるのかしら・・・」 と、イライラされませんように。 姿勢のわるい子にはかなりむずかしい作業です。

もうひとつの課題のぬりえは、指先の器用さの訓練が目的です。 指定された範囲内をていねいにぬるには、手指のコントロールが必要。
これがきれいにできることが、文字を形よく書くことにつながっていきます。おうちでも、ぬりえはどうぞしてください。 ぬりえを選ぶときは、できるだけシンプルなものにしてくださいね。

早くから文字を書くことが、小学校以降の書写力にうまくつながっていないようです。 学校の先生が、入学後に正しい書き方を教えてもそれが身につかない、と言われます。 早くから書ける子も、そうでない子も、姿勢良く書けるようになる、すらすら書けるようになるためのおけいこを、年中の間にぜひとも身につけてほしいと思います。
文字は、興味を持てば書きたくなります。 興味を持たせる努力は必要ですが、むりやり「あ、い、う、え、お」と、書かせる(なぞらせる)ことはおやめください。

では、今回のお小言はこのへんで、 お・し・ま・い! 




★塩出先生の本音トーク 年長クラスその1★    2013.52.23  

年長クラスの書き方教室がはじまりました。 第1回目のおけいこでは、  1 なまえを書く  2 手本の字を見て書く  3 長いたて線をひく   4 長いよこ線をひく  5 ななめの線をひく  6 ゆびさきの運筆練習 ということをしました。用具はえんぴつです。

まだ名前が書けなくても気にすることはありません。
この時期には、書けなくてもだいじょうぶ。
とはいえ、かなりの子どもたちは名前を書いていました。
すごいですね~。
まあ、書けているといっても、そのレベルはさまざま。
う~ん、いろいろな書き方をしていましたね~ こどもの書きぶりからは、いろいろなことが見えます。
「けっこう家でおしえてもらっているナ」「ま~、なんという筆順!」「これはきっといつのまにか自分で書くことを覚えたみたいね」
・・・などなど。でも、みんな鉛筆の持ち方がイマイチ! 指の位置が正しい子どもはごくわずか。そのうちの何人かは、持ち方は合っているけれど、指が動いていない(これはちょっと問題アリ)

「うちの子はどんな風に書いたのかしら・・・?」 と、気になるでしょうが、なまえや文字を書いたプリントは私が保管しておき、線のプリントだけ返しています。 なぜなら、親は文字プリントのほうは見ても線のプリントの方は見てくれないからです。 これからも、全部のプリントを返すとは限りません。かならず目を通しておいていただきたいものをお返しいたします。これらを見て、気になることがありましたら、気軽にご相談ください。
1学期は姿勢よく座ることと、指先の機能を高めることが、大きな目的です。
字を書かせると、どうしても悪い持ち方や姿勢になってしまいますので、あまり多くの文字は書かせません。

前回のおけいこでは名前や文字を書いたあとに、運筆練習をしました。 「年中さんの時にやったのに・・・」と、思われるでしょうが、意外にも鉛筆では(年中のときはクレヨンでした)うまくできない子が多かったですね。 すでに小さな文字をたくさん書いているからでしょう。 鉛筆を固く握りしめているために、腕が軽く動きません。線がガタガタしている子が目立ちました。
この、一見何でもないような長い線をきれいに引けるということが、姿勢よく書けているという証拠となるのです。
姿勢は、「良い姿勢をしましょう」というかけ声では良くなりません。身体が座り方を覚えることが必要です。

長い線を書いたあとの、動物の形を使っての運筆練習は指先の動きをよくするためのものです。鉛筆は指の位置が合っているだけでは正しい持ち方とはいえません。鉛筆を持った指先の関節がよく動くことで、字はうまく書けるようになるのです。
文字は複雑な線の組み合わせで、できています。その線の形や長さをコントロールするのが、手指の器用さです。 これから、いろいろなプリントで、指先を使う運筆練習をしますが、これらにもさまざまな工夫をしています。

何度もくりかえしますが、親が「こんな簡単なこと」と思うようなプリントでも、正しい姿勢、持ち方で書くのはかなりつらい作業です。
文字は、興味を持てば書きたくなります。 興味を持たせる努力は必要ですが、むりやり「あ、い、う、え、お」と、書かせる(なぞらせる)ことは、よい方法ではありません。

では、今回のお小言はここまで!




★発達段階に応じた上手な鉛筆の選び方の1例★   2013.2.28  
Yちゃんはとてもまじめな年中さん。私の話をよく聞いて、ていねいな書き方をする。書く量はけっして多くはないが、運筆はきちんとできている。
書き方教室推奨の文具を使っているようで、太い鉛筆や、補助器具を使用している時の持ち方はとてもよい。
年中の書き方教室もそろそろ終盤になってきたので、ためしに小学校で使う鉛筆を使わせてみた。そうすると、細すぎて、うまく書けなかった。 次の週に、同じ物を補助器具をつけて書かせたところ、おどろくほどうまく書けていた。
やはり、鉛筆選びは大事。




★「発達段階に応じて ー鉛筆の選び方ー」★   2013.2.9  
ご家庭ではどんな筆記用具を使わせていますか?
鉛筆に、どれだけの種類があるか、ご存じですか?
なぜ、そんなにもバリエーションがあるのでしょう?
「どんな鉛筆が良いのですか?」と人に聞かずに、「うちの子にとって一番使いやすい(書きやすい)鉛筆はどれかしら?」という気持ちで、鉛筆を選びましょう。
「どの鉛筆が良いかって?そんなこと、私にはわかりませんわ」というお母さん、いろいろ買って、子どもに選ばせてください。きっと自分で一番使いやすいモノを選びますよ。




★「発達段階に応じて ー姿勢ー」★   2013.2.9  
「字を書くときの姿勢が悪いのですが、いくら注意しても直りません」というお母さん、ことばでの注意では直りませんよ。字を書くときに姿勢が悪くなるのではなく、もともとの姿勢が悪いのですから、まずはきちんと座ることを体得させましょう。


食事の時は、どのようなすわりかたをしていますか? 姿勢よく食事をしていますか?

食べ物を咬む力と姿勢の関係をご存じですか?
足を床にきちんと着けることもできない子どもが増えています。おとなのように足を組んでいる子がいます。そうしないと体のバランスがとれないのでしょう。
小さい頃に、体のバランスが既に崩れているのです。おとなしくしてくれるからといってゲームばかりさせていると、一番大事な体の発達が妨げられます。




★「発達段階に応じた指導 ー運筆ー」★   2013.2.9  
「いくら注意しても字形が良くなりません」というお母さん、運筆練習をしっかりさせてください。
大きな紙に長い線をひいたり、いろいろな大きさの円を描いたり、塗り絵をしたり、まずは楽しく筆記具を使うことからやり直し。字の形がうまくなおらないのは、多くの場合、自由な方向に鉛筆が行かないからです。
折り紙や、切り紙も良いですね。
「そんなことが苦手で、やりたがらないのですが…」という場合には、・・・

あまり、無理に書かせようとしないことです。






最近子どもたちが孫のように思えて、お母さんたちが娘にみえる。

私が若いとき、いつも子どもをガミガミと叱っていた。そのほうが子どものためだと思って…

そうすると、母が「そうように怒らんでも…」と言ってくれた。

今、私がそのような立場にいるのであろう。くりかえしですね。