【文字の大きさと、文字の読み書き】 絵本は、対象年齢が低いほど文字は少ないし、その文字が大きいですね。それに、 絵本の数の多いこと。 子どもたちはそれらの絵本を自由に選んで読んでいます。文字は、初めは読んでもらうものですが、やがて自分で読むようになります。はじめは、大きな文字をひろい読みしていますが、だんだんと自分でステップアップして、小さい文字で書かれたことばや文を読むようになります。 決して、何歳用という目安で選びません。 それに比べて、文字を書くためのドリルの配慮のないことといったら・・・ しっかり“○歳用”って書いてある! この“○歳用”が曲者。 あの年令が標準であれば、書写教育もこんなに苦戦しませんよ(笑) 最初から、あんなに小さなマス目に書いていたらきれいな字は書けません。 手本となる文字の形もわかりにくいですし、運筆もうまくできません。“○歳用”という目安に振り回されないようにしましょう。 【鉛筆の持ち方が悪くなる時】 最初から鼻息荒いですね〜。 スミマセン。 最近の幼児は、文字に対する意識が高くなっていて、読み書きをし始める年令は早くなっています。 けれども、手指は昔より不器用になってきていますので、鉛筆はうまく持つことができません。 文字を書きたいという気持ちが高まるにつれ、速く、また多く書くことが必要となり、鉛筆を強く握り締めてしまいます。 つまり鉛筆の動きの悪い持ち方になります。 鉛筆の動きが悪いと、癖字になります。 持ち方が悪いと、きれいな文字の要素である、はね・はらい、線の長短、傾きの調整が上手くできません。 姿勢も悪くなります。 手指の器用さは、文字を速くきれいに書くための必要条件なのですから、幼児期にはまず、これを発達させるための機能訓練を中心に指導するべきです。そうしないと、入学後にいくら理論的な指導をしても機能がついてゆきません。学校ではできない前の段階の指導を幼児期にするのが意義あることではないでしょうか。 【お母さんの顔色】 子どもたちはお母さんが大好きです。おかあさんにほめられる事が一番嬉しいこと。 子どもたちは、ほめてもらおうと(叱られるのが辛いから?)一生懸命字を書いています。 でも、お母さんは、なかなかほめてくれません。 それどころか、「もっとがんばりなさい!」「こんな字しか書けないの?!」とプレッシャーをかける。 大人から見れば文字を書くことは簡単なことかもしれませんが、結構大変なのですよ。 叱咤激勵ではなく、「まだ、学校に行く前なのに、よく頑張ってるね。」「一生懸命書いてるけど、もうちょっとゆっくり書いてもいいんじゃないの?」というような言葉のほうが、どれだけ子どもたちががんばれるか… (何十年も指導してきていますが、叱っているお母さんの方が多いこと。) 【ちっとも 面白くない硬筆書写の学習】 同じ字を何回も繰り返し書くなんて、挙げ句の果てに、赤ペンでいっぱい直されたら・・・。 大人でも面白くないですよね。 とかく文字は「多く書く、繰り返し書くことで上達する」と、修行みたいに考えられていますが、楽しみながら上達する方がいいに決まっています。 まだ入学前で、きちんと書く必然性すらない時期に、叱られ叱られ苦行をさせられたのではたまりませんよね。 新課程で採用される英語やパソコンの授業に関しては、「楽しく学ぶ工夫…」なんてことが新聞に書いてありましたけれど、それはどの教科にも必要なことではないのでしょうか。 私も教材研究をがんばらなくっちゃ! 【これからどうなるの? 書写能力の格差の拡大】 ゆとりのない学校教育の煽りを受けて、文字を丁寧に書く時間も、たくさん書く時間も奪われてしまってます。でも、ゆとりがないのは先生のほうかもしれません。文字を丁寧に書く時間は毎日、ちょっとずつでいいのです。継続さえしていれば、かならず成果があらわれます。 最初の頃には個人差がありますが、いずれ、それほどの差はなくなります。 どうも最近はそこまでのケアがないように思われます。 学校の先生も、家庭のお母さんも忙しい。だから習字教室に託すわけですが、悲しいかな、習字教室は毛筆中心。 硬筆のほうは、指導者の思い入れによって差があるようです。「硬筆の方は、悪い習慣がついてしまっている子ほど、言うことを聞いてくれなくて・・・」と、他人事。そんな子どもこそ、あの手子の手で直してあげるのが、プロでしょうに。 子どもたちはわざとへたな字を書いているのじゃありません。うまく書けないから、やる気もなくしてしまっているのです。ナントカしなくっちゃ。 |
幼児期は、知的なレベルと、手指の機能の発達がアンバランスです。 わが子2人の文字の習得状況も真反対でした。 一人は2歳前後でかなりの本を読むことが出来ましたが、字を書くことには興味がありませんでした。彼は、左利きなので右手で字を書かせるために、5歳後半ころから右手で鉛筆を持つ練習を始めました。それが文字の書き始めです。 その時下の子は3歳前でしたが、兄のまねをして同じように鉛筆での運筆練習をしたがりました。もっとも、読みがほとんどできていなかったので、字と言っても図形の描写です。「あ」という字が上手に書けても、「あ」とよは読めないのですから。このように、書けていても、その読みが出来ない文字がいくつもありました。 わが子によって、読み書きは同じようには進行しないことを体感しました。 左利きの子は小学校4年生のころには右手の方が書きやすくなったいましたが、それまでは右手で書くとすぐに手合いたくなっていたようです。機能が文字を書くために十分に高まっていなかったからです。下の子は、勝手に書き始めたので、持ち方と筆順がなかなかなおりませんでした。 入学前には、親はさまざまな不安を持つでしょうがその中には、それほど心配しなくても良いことと、早めに対策を立てた方が良いことがあります。鉛筆の持ち方は、どちらかというと、気をつけるべきことになります。 |
鉛筆の持ち方と運筆練習は相互に関連を持っています。いずれも、文字を速く正確に、そして疲れずに書くためには、とても大切なことです。 運筆練習も、子どもの手指の発達の程度に合った物でなくては、却って姿勢や持ち方が悪くなったり、字形がちっともよくならなかったりします。 「正しい鉛筆の持ち方」ということばは良く聞きますが「正しい運筆のしかた」ということばはありません。でも、運筆の練習もやはり効率の良い手順というものがあるのです。 |
親や幼稚園の先生が気になることで、言われるのは「字を書くときの姿勢が良くない」ということです。姿勢の悪さは、誰が見てもわかりますし、自信をもって(笑)注意できます。 「しせいよく書きましょう」ということばは口に心地良いですが、実際にはなかなか良くなりません。 「いくら注意しても言うことをきかない」のではなく「良い姿勢で書けるようになる手だてをしていない」のではないでしょうか? 書いているときの姿勢は自分では見えません。注意されたら、その時は一時的には身を起こしますが、いつの間にかもとの姿勢になります。それが、書きやすい姿勢だからです。 姿勢よく書くための手順を考えてみましょう。 |